人文社会科学部?村上信夫特任教授(メディア社会学)と村上ゼミ所属の学生が、行方市運営のエリア放送局「なめがたエリアテレビ(通称なめテレ)」と共同制作する朗読ドラマについて、第6弾となる「南方三十三館の仕置き その呪い」の制作が決まりました。現在、ドラマに出演する「市民俳優」を募集中です(6月11日(水)17時締切)。
「なめテレ」は、域内であれば自宅のテレビなどで視聴できます。防災無線の補充ツールとして2016年10月に開局しました。
翌年から、茨城大学人文社会科学部の村上信夫特任教授(メディア社会学)のゼミが、コンテンツ制作に関わるようになりました。村上ゼミによるプロジェクトは市民参加型が特徴です。コロナ禍前は市内の商店などが企画に参加するコマーシャル、2021年からは市民が俳優を務める朗読ドラマを制作しています。コロナ禍前は市内の商店、団体、学校などが参加し1分間のコマーシャルをつくり放送していましたが、2021年からは、出演者を公募し、行方に関連した題材の朗読ドラマを制作しています。

「朗読ドラマ」とは―まずは、セリフとナレーションで構成された台本を、市民俳優のみなさんが舞台上で朗読し、その模様を撮影。そこに他のドラマ映像や音楽などを重ね、ひとつの映像作品として仕上げます。企画?脚本?演出?撮影?編集まで村上ゼミの学生たちが手がけ、完成後は報道機関も招いて試写会も実施。その後「なめテレ」で実際に放映されます。
出演者皆でつくるという趣旨から「市民俳優」と呼んでいます。行方市内に限らず、また演劇や朗読の経験、プロアマを問わず広く公募しています。応募者は県内全域、東京や神奈川などからも。県内の若い世代からからは「身近かで挑戦できる夢の第一歩」と、定着してきました。
昨年度(2024年度)制作したのは、「明日への道 霞ケ浦タンデム100キロレース」という作品。自転車競技でオリンピック金メダル確実といわれた主人公が、不意の事故で半身不随の障害を抱えながらも、二人乗りのタンデム自転車で再起を図るという物語で、ゼミ生の友人の実話がもとになっています。霞ケ浦を望むサイクルロードを自転車が進む映像もふんだんに挿入されています。(作品はこちらから)
昨年11月の完成披露試写会には、行方市の鈴木周也市長や出演した「市民俳優」のみなさんも参加しました。その中には、毎年のようにオーディションに参加し、この朗読ドラマに出演することを楽しみにしている方も。この取組みが文化的なインフラのように地域に定着していることがうかがわれます。
一緒に企画を進める行方市事業推進課情報発信グループの担当者も、「朗読ドラマに参加された方が良い経験をして、行方市のファンになってくださっているという実感があります」と語ります。また、村上ゼミとの関わりについても、「学生のみなさんとアイデアを詰める中で、我々が普段見慣れている風景に注目してくれるなど、市外の方が行方をどう見ているか、改めて気付かされることが多いですね」と話していました。
そしてこのたび、第6弾となる朗読ドラマ「南方三十三館の仕置き その呪い」の制作が決定しました。1591年(天正19年)、常陸国統一を目指す佐竹氏が、南部の行方郡(現行方市)を治めていた小高氏らを謀殺した歴史上の悲劇「南方三十三館の仕置き」から着想を得ています。悲劇から500年後2025年、佐竹家の末裔である千尋と、小高家の末裔である康介が恋をします。そのころ、殺された領主たちの魂を封印した祠が壊され、怨霊が復活してしまいます。500年の時を越えた和解をテーマに、ホラー、サスペンス、恋愛…とさまざまな要素が詰まった物語です。
この朗読ドラマに出演する市民俳優のオーディションが、今回も実施されます。応募方法詳細は行方市ホームページ内でご確認いただけます。
今作のプロデューサーを務めるゼミ生の渋谷逸稀さん(3年)は「今年の作品は、これまでの朗読ドラマとは異なり、初めて“ホラー”というジャンルに挑戦します。歴史的な背景をもとに、サスペンスや恋愛要素も交えた物語になっています。行方市ならではの魅力を発信できる作品にしてまいりますので、ぜひご注目ください!」と呼び掛けています。